病院、看護部の理念に基づき、患者様の人権を尊重し、安全安心な看護・介護サービスが提供できる看護・介護職員を育成します。そのために、職員の学習ニーズと目標を尊重し、専門職として成長・発達するための学習活動を支援します。さらに、看護・介護実践を通して、自らが主体的に自己の能力開発を行い、それを臨床で発揮できるよう援助します。
「臨床こそ教師」の視点から職場内教育(OJT)を重視し、その学びをより深めるため職場外集合教育(off-JT)として『京都民医連看護師キャリア開発ラダーシステム』を運用し、ラダーⅠ研修(卒後1年目)、ラダーⅡ研修(卒後2~3年目)、ラダーⅢ研修(卒後4~7年目)、ラダーⅣ研修(卒後8~10年目)、ラダーⅤ研修を行っています。
また、自己学習・能力開発を支援するため、多くの院内学習会を開催すると共に、外部研修への参加、学会・研究会での研究発表を積極的に推進しています。 当院の教育制度で学びを得て、成長したスタッフのメッセージもご覧ください。
日々の看護実践・カンファレンスを通して、看護技術・倫理的思考を学んでいます。初期研修生に対しては、指導者が付くと共に、中堅スタッフ・教育委員・役責もバックアップし、職場全体で学習を支援しています。
また、全スタッフに年3回の育成面接を実施し、能力開発支援を行うと共に精神的援助も行い、自己成長に繋げています。
ラダーシステム運用の目的は、『人権を尊重する高い倫理観をもち、幅広い知識・技術・態度を統合して、エビデンスに基づく看護の実践と、社会的問題に対して自ら変革していくことができる看護師』を育成することです。
そのような看護師を育成することで、地域の人々の「暮らしている地域で、自分らしく生きていく」というニーズに応えられる、質の高い看護が提供できることを目指します。
1)専門職業人として
①人権を尊重して患者、利用者の権利の擁護を基本とした対応ができる能力
②対象の個々のニーズに対して、安全で安心できる看護サービスを提供できる能力
③看護の専門的知識・技術を有し、根拠をもち看護ケアを実践できる能力
④医療に従事する多様な専門職と協働し、チーム医療を推進する能力
⑤主体的に学び、研究的視点をもち、新しい看護を創造できる能力
2)組織人として
①病院の理念・方針を理解し、看護職員として病院経営に参画できる能力
②患者・利用者、家族、医療・介護チームメンバーとよい人間関係を築いていく能力
③よい組織づくりを目指し、自ら変革を推進していくことのできる能力
④ともに育ちあう関係づくりができる能力
3)民医連の職員として
①民医連綱領実現に向け、自らも主権者、また共同組織の一員としての自覚をもち、
民医連運動やまちづくりを推進する能力
②医療・福祉をめぐる情勢をつかみ対応できる能力
卒後1~3年目を初期研修期間として位置付け、「民医連の医療・看護を理解し、民医連で働き続ける基礎をつくる」ことを目的に、ラダーⅠ・Ⅱ研修を実施しています。
初期研修期間における支援体制は、新人看護職員研修ガイドラインに準じて、配属部署・院所全体で支援するとともに、指導者を配置して、きめ細やかな対応を行っています。また、カウンセリングの専門家である臨床心理士との面接も定期的に実施しています。
《ラダーⅠ研修》
Ⅰ.看護実践能力
1.助言を得て患者や状況(場)のニーズをとらえることができる。
2.助言を受けながら、安全な看護を実践できる。
3.関係者と情報共有ができる。
4.患者や周囲の人々の意向を知ることができる。
Ⅱ.役割遂行能力
1.病院の理念を理解し、組織の一員として助言を受けて行動できる。
2.チームにおけるメンバーの役割を理解し、助言を受けて協働できる。
3.看護業務における倫理課題に気づき助言を受けて行動できる。
4.主権者としての自覚と民医連職員としての役割を認識し、助言を受けて社会参画できる。
Ⅲ.マネジメント力
1.看護実践における管理的側面を理解し、助言を受けて行動できる。
Ⅳ.自己学習・研究能力
1.自己の課題を助言によって発見し、自主的な学習に取り組むことができる。
《ラダーⅡ研修》
Ⅰ.看護実践能力
1.患者や状況(場)のニーズを自らとらえることができる。
2.患者や状況(場)に応じた看護を実践できる。
3.看護の展開に必要な関係者を特定し、情報交換ができる。
4.患者や周囲の人々の意思を看護に活かすことができる。
Ⅱ.役割遂行能力
1.チームの目標達成に向け、自己目標をチーム目標に連動させ、目標達成に取り組める。
2.チームにおける日々のリーダ的役割を認識し、協力を得て遂行できる。
3.看護業務上の倫理的課題について、自ら上司に報告できる。
4.主権者ならびに民医連職員として、社会の動きをとらえ、助言を受けて社会参画できる。
Ⅲ.マネジメント力
1.看護実践における管理的側面を理解し、主体的に行動できる。
Ⅳ.自己学習・研究能力
1.自己の課題を明確化し、達成に向けた学習活動を展開することができる。
初期研修生(ラダーⅠ・Ⅱ研修生)の支援は、院所全体で行うとともに、配属部署の全スタッフがサポートします。また、ラダーⅠ研修生には実地指導者を、ラダーⅡ研修生には援助担当者を配置して、丁寧な支援を行っています。また、カウンセリングの専門家である臨床心理士との面接も定期的に実施しています。
内容 | 課題 | |
---|---|---|
ラダーⅠ研修 (卒後1年目) |
技術研修、 多重課題演習、 急変対応、防災対策、 医療安全 等 | ケースレポート 看護観 |
ラダーⅡ-1年目研修 (卒後2年目) |
社会保障制度、 看護倫理、急変対応、 防災対策、 医療安全 等 | 事例レポート 看護観 |
ラダーⅡ-2年目研修 (卒後2年目) |
介護保険制度、看護倫理、 急変対応 、ME機器、 医療安全 等 | 継続医療レポート 看護観 |
卒後4年目以降は、職場教育や職場づくりの主体者として成長し、キャリア開発を進めるために必要な能力を獲得することを目的として、研修を実施しています。
Ⅰ.看護実践能力
1.患者や状況(場)の特性をふまえたニーズをとらえることができる。
2.患者や状況(場)の特性を踏まえた看護を実践することができる。
3.患者やその関係者、多職種と連携できる。
4.患者や周囲の人々の意思決定に必要な情報提供や場の設定ができる。
Ⅱ.役割遂行能力
1.部署目標の達成に向け、自己目標をチーム目標に連動させ目標達成に取り組める。
2.チームリーダーの役割を果たし、チーム内で発生した問題を解決できる。
3.看護業務上の倫理的課題をチームメンバーと共有し解決に向けた提案ができる。
4.医療情勢を学び、日常の医療活動との関連についてチームメンバーと共有し、
メンバーと共に社会参画できる。
Ⅲ.マネジメント力
1.看護実践における管理的側面について実践するとともに職員への助言ができる。
Ⅳ.自己学習・研究能力
1.自己の学習活動に積極的に取り組むとともに、後輩(新人や看護学生など)に対する
指導的な役割を実践することができる。
◎実地指導者研修:新人看護師を適切に指導・支援するための知識と技術を獲得することを目標とします。
◎多職種研修 :看護師以外の職種と合同でリーダーシップや、ファシリテーションなどの知識と技術
を獲得することを目標とします。
◎実習指導者研修:看護学生を指導するための知識と技術を獲得することを目標とします。
◎医療機器研修 :医療機器を適切に管理・操作するための知識と技術を獲得することを目標とします。
◎看護研究 :日々の看護実践を通してテーマを見つけ研究に取り組み、看護の質向上を図ることを
目標とします。
民医連看護の実践者として、また社会人・医療人として自らがロールモデルとなり後継者育成を進めるために必要な能力を獲得することを目的として、研修を実施しています。
Ⅰ.看護実践能力
1.患者や状況(場)を統合しニーズをとらえる。
2.様々な技術を選択・応用し看護を実践する。
3.患者を取り巻く多職種の力を調整し連携できる
4.患者や周囲の人々の意思決定に伴うゆらぎを共有でき、選択を尊重できる。
Ⅱ.役割遂行能力
1.部署目標の達成に向け、チーム目標の達成を目指し、指導的に関わることができる。
2.複雑な状況を適切に判断し、自ら適切な行動をとることができ、かつ組織横断的に指導的
役割をとることができる。
3.看護業務上での倫理的課題解決に向け、組織横断的に調整するとともに、倫理観を高める
教育的介入ができる。
4.社会情勢を掴み、医療活動への影響について職員への説明と、改善に向け、自ら職員と共
に考え社会参画できる。
Ⅲ.マネジメント力
1.看護実践における管理的側面について、部署の実施状況を把握するとともに、指導・改善
に向けた提案ができる。
Ⅳ.自己学習・研究能力
1.自己のキャリア開発や看護研究に主体的に取り組み、後輩のロールモデルとなることができる。
◎看護研究 :日々の看護実践を通してテーマを見つけ研究に取り組み、看護の質向上を図ることを
目標とします。
◎講師活動 :病院内や病院横断チームから依頼される講義を担当し、看護の質向上を図ることを目
標とします。また、看護学校の講師を担い、後継者を育成することも目標とします。
◎教育委員研修:教育に関する研修に参加し、知識と技術を獲得することを目標とします。
◎ラダーⅣ研修:京都民医連で開催される合同の研修に参加し、ラダーⅣに求められる能力を獲得する
ことを目標とします。
民医連医療・看護の推進者として、組織横断的に活動できることを目的として、研修を実施しています。
Ⅰ.看護実践能力
1.患者や状況(場)の関連や意味をふまえニーズをとらえる。
2.最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する。
3.患者の複雑なニーズに対応できるように、多職種の力を引き出し連携に活かす。
4.複雑な意思決定プロセスにおいて、多職種も含めた調整的役割を担うことができる。
Ⅱ.役割遂行能力
1.病院組織の目標達成に向け、自己目標を連動させ、組織変革を推進できる。
2.組織横断的にリーダーシップを発揮し、関連部門や地域との連携・調整・協働ができる。
3.看護業務ならびに、組織内での倫理的課題について解決に向けた提案、調整ができる。
4.民医連運動を推進する立場で、職員の社会参画への組織化ができる。
Ⅲ.マネジメント力
1.看護実践における管理的側面の具体化を図るとともに、課題については組織横断的に調整できる。
Ⅳ.自己学習・研究能力
1.自己のキャリアを確立し、職員のキャリア開発や研究活動を支援できる。
◎看護研究 :日々の看護実践を通してテーマを見つけ研究に取り組み、看護の質向上を図ることを
目標とします。
◎講師活動 :病院内や病院横断チームから依頼される講義を担当し、看護の質向上を図ることを目
標とします。また、看護学校の講師を担い、後継者を育成することも目標とします。
◎研修責任者研修:研修を企画・運営する能力に関する研修に参加し、知識と技術を獲得することを目標
とします。
◎ファシリテーター活動:ラダーⅣ研修にファシリテーターとして参加し、ラダーⅤに求められる能力を
獲得することを目標とします。
各委員会メンバーや認定看護師が中心となり、多くの学習会を開催し看護力量の向上を図っています。
〈定期開催 学習会〉
認知症ケア 、 褥瘡予防ケア、摂食嚥下ケア、緩和ケア 、 心電図モニター、輸液ポンプ など
“学びたい”という思いを大切にするため 、外部研修への参加を積極的に支援しています。
新たな知識の獲得や、 取り組んだ研究を発表の場として、 学会・研究会にも、積極的に参加してもらっています。
◎ 2023年度実績:9学会・研究会に延べ 30名参加、 13 演題発表
◎ 2022年度実績:7学会・研究会に延べ 33 名参加、 13 演題発表
◎ 2021年度実績:9学会・研究会に延べ 33 名参加、 20 演題発表
◎ 2020年度実績: 4 学会・研究会に延べ 10名参加、 7 演題発表
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